ワープロソフト「一太郎2017」(ジャストシステム)を利用すれば、電子書籍のEPUB形式やAmazonのKindle向け電子書籍のmobi形式ファイルを簡単に作れます。ジャムハウスでは、一太郎2017を使って自社既刊書籍の電子化を進めています。今回は、PDFファイルをもとにして、「リフロー」形式のファイルの作り方を紹介します。
●電子化する書籍のPDFファイルを用意する
リフロー形式の電子化の方法は、以前ジャムハウスで紙の書籍として制作した「フェルト羊毛で作る 動物と童話の世界」を例に紹介します。
本書は、クマやペンギン、ヒツジなどの愛らしい動物と、「3匹の子ブタ」や「不思議の国のアリアス」などの童話の世界をフェルト羊毛で再現した一冊です。 電子化にあたり、2~3作品ごとに分冊することにしました。好きな作品を選んで、少しずつ作ることができます。
まず、紙の書籍を制作した際のデータからPDFファイルを用意します。用意したPDFファイルのテキストや画像をコピーして、一太郎2017に貼り付けていく作業を行います。なお、一から電子書籍を作りたい場合は、一太郎2017に文章を入力したり写真を貼り付けたりすればOKです。
●一太郎2017の文書スタイルを整える
PDFファイルのデータを一太郎2017に貼り付ける前に、一太郎2017の「文書スタイル」を整えます。初期設定ではA4の文書スタイルが設定されているはずです。今回作る電子書籍は、タブレットやスマホで読まれることを想定していますので、A4用紙よりも小さい文書スタイルを設定します。そうすることで、電子化したあとのイメージに近くなります。
[ファイル-文書スタイル-きまるスタイル]を選択します。
[きまるスタイル]ダイアログが開くので、[本・冊子]を選択します。続いて[すべてのサイズ]をクリックしてメニューを開き、ここでは[B6]を選択します。すると、B6サイズの用紙スタイルのみに絞り込んで表示されます。
用紙の置き方は[縦]、文字組は[横組]を選択します。B6サイズ・縦置き・横組のスタイルに絞り込まれます。使いたいスタイルを選択します。右側のプレビュー表示でスタイルを確認し、[OK]をクリックします。ここでは[B6_単行本17 30字×27行 9.0P]を選択しました。これで、B6の文書スタイルを設定できました。
<ポイント>
「きまるスタイル」を利用すると、手軽に用紙サイズにあったスタイルを設定できます。必要に応じて、[ファイル-文書スタイル-スタイル]を選択して、フォントや文字サイズ、マージンなどを調整してください。
●PDFファイルを開いてテキストや画像をコピーする
PDFファイルを開くのは、Adobe Acrobat Reader DCを利用しました。
テキストや画像を選択するには、ツールバーで[テキストと画像の選択ツール]を選択します。矢印のアイコンです。文章をドラッグして指定し、[Ctrl]+[C]キーを押してコピーします。または右クリックしてメニューから[コピー]を選択します。
●コピーしたデータを一太郎2017に貼り付ける
一太郎2017を起動し、貼り付けたい位置にカーソルを移動したら、メニューから[編集-形式を選択して貼り付け-テキスト形式]を選択します。すると、フォントや文字サイズ、飾りなどが設定されていないテキストが貼り付けられます。文字サイズや文字色は、一太郎2017で整えていきましょう。フォントは、オーソドックスなMS明朝やMSゴシックにするといいでしょう。
<ポイント>
コピーしたデータの貼り付けは、ショートカットキーの[Ctrl]+[V]キーを利用するとスピーディーに行えます。ただし、初期設定ではフォントや文字飾りなども引き継がれます。メニューから[編集-形式を選択して貼り付け-通常の貼り付け時の動作設定]を選択し、[貼り付け形式]で[テキスト形式]を選択すると、テキスト形式での貼り付けに変更できます。
●必要に応じて画像の配置を整える
画像は、画像枠として貼り付けられます。画像の配置を変えたいときは、画像をクリックして選択すると左上に表示されるアイコンで操作できます。枠を左に寄せたり、中央に配置したり、右に寄せたりできます。文書内で任意の枠サイズに固定したいときは、右端の[枠飾りと文字の配置]をクリックします。
[枠のサイズと位置]タブの[メニュー]をクリックし、[縦横比を固定する]にチェックが付いていることを確認します。付いていない場合は付けます。
たとえば画像の横幅を80mmにしたい場合は、[枠のサイズ]の[枠幅]を[80]mmに設定します。縦横比を固定にしていれば、高さは自動的に変更されます。[OK]をクリックします。
<ポイント>
アイコンの先頭に表示されているアルファベットはショートカットキーを表しています。アイコンをクリックする代わりに、枠を選択した状態でショートカットキーを押してもかまいません。よりスピーディーに操作できます。
●完成したらKindle/mobi形式で保存する
電子書籍形式の保存を行います。[ファイル-他形式の保存/開く-Kindle/mobi保存]を選択します。
<ポイント>
最初だけ、「Kindleプレビューア」のインストールが必要です。「Kindleプレビューアダウンロードページ」のリンクをクリックして、ダウンロードを実行します。ただし、現在、リンク先のAmazonのウェブページで公開中のプログラムは、最新のベータ版です。以下のサイトから1つ前のバージョンの「Kindleプレビューア」をダウンロードしたほうが、安定して動作するようなので、こちらを試してみてください。インストールの方法などの詳細は、「固定レイアウト編」を参照ください。
ファイルのプロパティを設定します。「タイトル」「作成者」を入力し、「言語」は「日本語」を指定します。
「表紙」は画像として用意しているので、「画像」を選んでファイルを指定します。
種類は「リフロー」を選択します。
「書誌情報」タブには、タイトルと作者名のフリガナ、書籍に関するキーワード、説明、発行者、著作権者を入力しておきます。ISBNは空欄のままでかまいません。
[リフロー]タブの設定は、通常は初期設定のままでかまいません。
最後に、[Kindle/mobi]タブを設定します。[参照]をクリックしてKindleGenとKindleプレビューアの場所をそれぞれ指定します。以下はファイルの場所の例です。インストールしたパソコン環境によって異なります。
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Amazon\Kindle Previewer\lib\kindlegen.exe
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Amazon\Kindle Previewer\KindlePreviewer.exe
設定が完了したら、[保存]をクリックします。
ファイル名を指定して[保存]をクリックし、ファイルを作成します。
ファイルのサイズによって、数秒から数分間待つことになります。完了したら、[プレビュー]をクリックします。
プレビューアが起動するので、電子書籍のページイメージを確認します。これで、電子書籍の完成です。このファイルは、AmazonのKindle ダイレクト・パブリッシングのサービスを利用して、電子書籍の販売ができます。
(Kindle ダイレクト・パブリッシングのサービスを利用する方法については、また改めてご紹介する予定です)
この方法で制作して、販売中の電子書籍はこちらです。
【他にも続々と、電子化プロジェクト進行中です!】
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